医師によって治療法は同じと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし実際は医師によって治療法は異なります。その理由は以下2つあります。
明確な治療指針がない
医師は、法的拘束力のある治療指針がありません。
このため100人医師がいれば100通りの治療法があります。
どの検査を行い、どのような診断がされ、外科手術を行うか、薬物治療を行うか、どの薬剤を処方するかなどが異なります。
各学会から発行される「診療ガイドライン(※)」というルールがありますが、法的拘束力はなく、あくまで各医師が診療の際に参考にするものです。
※診療ガイドラインは、医療現場で、適切な診断と治療を補助することを目的に作成されています。病気の予防・診断・治療・予後予測など診療の根拠や手順についての最新の情報を、専門家が分かりやすくまとめた指針です。メタアナリシスやランダム化比較試験の証拠を、強いものとして扱い、医学的な推奨事項をまとめたものです。
つまり上記に従って治療を行えば、患者さんにとってそのガイドライン作成時に最良の医療を提供できるはずです。
しかし医療は日進月歩で診療ガイドラインの改定間隔は5年以上~など数年置きで、その間に新しいエビデンスが示される場合があります。それは各医師が最新の論文や情報を収集しなければいけません。医師は通常診療で多忙であり、常にupdateできる医師は多くないと思われます。
医師個々人の考えがある
診療ガイドラインはありますが、一方それに従った治療順序や治療内容を行わない医師もいます。
各医師は自分が患者さんを診療してきて治療方法や治療順序、薬剤の効果を実感しています。その結果から医師毎にこの治療方法がよいという考えがあるのだろうと思われます。
私は臨床開発職としてこれまで神経内科、精神科、呼吸器科、消化器科など様々な医師と面会し治験を進めてきました。仕事でお話しさせていただく中で、医師毎にさまざまな治療の仕方や考えを伺いました。
まとめ
以上2点を踏まえ、患者さんもある程度知識をもって自分の考えに近い考えをもった医師を選んで治療を受けることで納得した治療を受けられ、安心して治療に専念できるでしょう。
治療中に病院や医師を変えるのは、病気が進行又は悪化してしまう可能性もありよくありません。予め病院や医師を選んで、信頼できる医師のところで治療に集中する方が予後がよいと思われます。