2021年6月頃に公開されていた映画「Father」がNetfrixで公開されていたので、見てみました。
映画『ファーザー』| 公式ページ | CineRack(シネラック)
目次
- 映画を見ようと思った理由
- 映画のあらすじ
- 映画の感想
- 認知症の症状とは
- まとめ
1.映画を見ようと思った理由
本映画は、認知症患者さん側からの視点を疑似体験できます。私はCRO所属で、昨年まで4年間認知症治療薬の治験に携わっていたため、認知症患者さんから診る世界を体験したいと思っていました。
2.映画のあらすじ
80歳になった父親アンソニーに認知症の兆候が見え心配する娘のアン。父親に介護ヘルパーをつけようとするアンの気持ちをよそに、気難しいアンソニーは難癖をつけてはヘルパーを追い出してしまう。アンソニーの病状は進行し、次第に自分の置かれている状況もわからなくなる。アンソニーの困惑は苛立ちとなって、アンに当たることも。物語はアンソニーの視点で描かれ、認知症患者さんを介護する側の視点だけでなく、患者さん本人の気持ちにも入り込める点が特徴。
3.映画の感想
まず見た感想として、混沌としていてストーリーがつかめず、不安で心細くなりました。自分のいる場所、時間、記憶が曖昧になり確かなものがなくなる。その怖さを実感しました。
4.認知症の症状とは
認知症の症状は、中核症状と周辺症状の2つに分けられます。
認知症では、脳の細胞が壊れます。その脳の細胞が担っていた役割が失われることで起こる症状を「中核症状」と言います。一方、中核症状によって引き起こされる二次的な症状を「行動・心理症状」や「周辺症状」と呼びます。
※参考HP:認知症の中核症状と行動・心理症状(BPSD/周辺症状) | 認知症ねっと
(ninchisho.net)
◆中核症状
:「認知症の方なら誰でも現れる症状」です。
・(見当識障害)今がいつでどこにいるかが分からなくなる
・(記憶障害)最近の記憶やエピソードが曖昧になる
映画ではアンソニーも自分の娘が一人亡くなっていることを忘れていました。
・(理解・判断力の障害)一度に複数のことを言われたり行動しようとすると理解が難しくなる症状
◆周辺症状
:中核症状が元となって、行動や心理症状に現れます。本人の性格や環境、心理状態によって出現し個人差があります。
・(不安・抑うつ)様々な認知機能が落ちてくると、日常生活に支障が出てきます。できないことが増えることから、気分が落ち込む(抑うつ)状態
・(物とられ妄想) 患者さんはいつ、どこに、何をしまい込んだかを忘れてしまいます。自分が置き忘れた自覚がなく、「盗まれた」と家族や介護者など身近な人を疑います。映画ではアンソニーも自分の腕時計をどこに置いたか忘れ、娘の夫が盗んだのではないかと疑うシーンがありました。
・(せん妄)体調不良や薬の影響、環境の変化などによって意識障害が起こり、混乱した状態になることがあります。時間や場所がわからなくなったり、幻覚を見たり、興奮するなどの精神症状が現れ、人格が変わってしまったように感じることもあります。アンソニーも映画の終わりの場面で混乱した状態になり、子供のようにママに会いたいと泣き出すシーンがありました。
5.まとめ
本映画では、認知症患者さんの混沌とした脳内が描かれています。患者さんは、妄想の世界で生きいて、恐怖や不安と戦っていることを知れました。映画の最後の方で、時間の流れも、人との記憶も曖昧で不安になり「ママに会いたい」と泣き出すアンソニーを、自分の娘に重ねてみてしまいました。認知症は、無知だった子どもに戻る病気なのかも知れません。患者さんからどんな風に世界がみえているのか少し知るだけで、なんでこんなに頑固なの?などといった疑問が解消し患者さんに寄り添って介護できたり、一緒にゆったりと過ごせるのではないか思いました。
。